入院前最後の診察を終え、色々なことが決まった。
まずは入院及び手術の日程。
なんかこう……いよいよなんだぁ、という気がしてくる。
それから、自家がんワクチンはとりあえず見送り、ということ。
アラ父母を説得するのに大変な思いをしたのは事実だけど、だからといってそれに固執する気はない。
担当医が2人そろって「現状のアラヤちゃんにはお勧めできない。」という結論を言ってくれている現状では、それを押し切ってまでやろうとは思わない。
でも、「やりたかったらやってもいいよ。」と言って下さった三谷医師には感謝しかない。
三谷医師までけちょんけちょんにけなされていたら、私は大分ハートブレイクを引きずっていたと思うw
さて。
問題はアラヤちゃんの入院の日に私が仕事で不在なので、付き添えない&当日の説明が聞けないということ。
例の如く、アラ父母は「圭ちゃんがいなくても私たちだけで大丈夫だよ。」とは言ってくれたけど、細野医師が言っていた「手術の最終的な説明」があり、それが今までに聞いていたことならばいいのだけれど、何か新しい情報が飛び出てきたら困る……。
そんなことがあった場合、正直アラヤちゃんやアラ父母だけでは不安でしかない……。
そこで私が思いついたことは、
召喚! アラ妹!!
アラ菜ちゃん!!!
(`・ω・´)ボワーン
である。
彼女なら肉親だから同席しても問題ないし、何か想定外のことがあっても適切な判断ができるし、アラ父母が万が一変な判断をしてもそれを制止する実力を持っている。
彼女が仕事を休んで立ち会ってもらえれば、心強いことこの上ない。
ということで早速連絡をすると、
「休みを取る。」
ときっぱり断言してくれた。
……た、頼もしい♡
そしてアラ菜ちゃんは宣言通り仕事の休みをもぎ取り、入院の日の手術の説明に同席してくれた。
後日訊いたことによれば、大体はすでに説明されていたことだったが、この時初めて言われたこともいくつかあった。
それが、次の通りだ。
①脳の断面積の1/4が病気。
MRI画像で見るに、とにかく病変部がかなり大きいとのこと。
②具体的な手術のタイムスケジュール。
8:10 手術室に入る。
9:45 手術執刀スタート。
10:30~11:00には表皮を切って頭蓋骨を取り外し、脳が露出しているだろう。
その後、麻酔のスイッチを停止し、目を醒ますのを待つ。
※局所麻酔はしてあるので、頭皮を切られている痛みはなし。
※脳自体は痛覚がないので、痛みを感じない。
11:30 目が覚めれば、言葉の検査・右手足の動きをチェックしながら病変部の摘出。
13:00 覚醒下手術終了。止血し、閉頭を開始する。
※閉頭:露出した脳に頭蓋骨を戻し、切り開いた皮膚を縫合して閉じること。
15:00 閉頭完了。
16:00 麻酔を切ってHCU(術後専門病棟)に移動。
その後HCUで家族と一度面会(ただし数分間のみ)、その後別室にて手術中のことについて細野医師から説明。
③吐き気止めの使用について。
覚醒下手術の成功の阻害要因として、「吐き気」があると説明されたらしい。
厚生労働省のガイドラインで覚醒下手術に使用できる吐き気止めは、あまり強くなく一般的な吐き気止めまでらしい。
しかしながら、本人の了承を得れば抗がん剤治療をしている人にのみ使用できるような、強力な吐き気止め(カイトリルなど)が使用できるのだそうだ。
適用外使用、というらしい。
手術成功のためにも、その吐き気止めを使用してよいかの同意を求められ、アラヤちゃんはそれに同意した。
④身体拘束について。
術後、麻酔から目が覚めたものの朦朧としていて自分の状況が把握できず、点滴を自分で抜いてしまったり、傷口のガーゼを剥がしてしまったりするのを予防するために、必要があると判断した場合は一時的に身体拘束をしたいと説明され、吐き気止めと同様にそれについての同意を求められ、やはりアラヤちゃんは同意した。
※身体拘束って言うと、精神科病棟で自傷を予防したり、認知症患者が暴れて自分や他人を障害するのを防止するためだったり、ってイメージがあったけど、こんなケースもあるのねぇ、と思った。
⑤メチオニンPET検査の結果について。
↑の時に話が出たメチオニンPET検査。外部の病院で受けた検査の結果がようやく届いたとのこと。
で、がん細胞が活発であればピッカリ光るはずなのに、結果としては全くと言っていいほど光っていなかったそうだ。
細野医師曰く、その結果から脳腫瘍の中でもどのタイプになるのかある程度想定は出来るが、アラ父が聞いても細野医師は「病理診断という最終結果が出るまでは、今はまだ答えられません。」とピシャリと、そして淡々と切り捨てたらしいw
ちなみに、何人もの脳腫瘍患者の血液を検査し、特定の物質が検出されないかの研究への同意書にもアラヤちゃんは快諾し同意したらしいのだが、その時アラ菜ちゃんが
血液検査の結果は教えて貰えるんですか?
と質問したそうだ。
複数人の血液を同時に検査するので、誰の血液からどうこうというのはわからないんです。
なので結果を知らせることは出来ないんです。
と返答されたらしいが、検査結果を教えて貰えるのか、というのは私には出てこなかった発想なので、さすがアラ菜ちゃん、たくましいwww
さらに言えば、鹿角さんの血液や組織から何か世紀の大発見があったとしても、著作権みたいに鹿角さんにお金が入ってくることもありませんw
と笑いながら細野医師は付け足してきたそうだ。
これには一同「あはは」と笑い合ったようだ。
そして、手術当日に家族はどこに何時に来ればよいかを指示され、何か聞いておきたいことはないかを確認され、特にもう訊くことはなかったため解散となったらしい。
私たちは、手術の日を待つのみとなった。