うちの彼氏は脳腫瘍・リアルタイム編5

脳腫瘍奮闘記
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アラヤちゃんの最近の様子について。

もうすっかり喋らなくなってしまい、意思表示もほとんどできなくなってしまった。
友達がお見舞いに来てくれたけど、来てくれたことが分かったというはっきりとした反応は無かった。
ただ、視線を動かしたり、手を握るとその手を放そうとしなかったり、と言った反応はあった。

食事はしていたし、食欲もあったのだが、脳腫瘍が原因で嚥下えんげ機能が落ちてしまい、誤嚥ごえん性肺炎を引き起こしてしまったので、食事も飲み物も一切禁止になってしまった。
※誤嚥性肺炎:食べ物が胃ではなく肺の方へ入ってしまったことで起こる肺炎

仰向けになって寝ていることが多かったアラヤちゃんは、舌の付け根が落ち込み、気道の通り道を塞いでしまっていたこともあり、危うく窒息死してしまうところだったこともあった。
訪問看護師さんが来て、いつも血中酸素飽和濃度を測定しているので発見できたけど、あと1時間遅かったら危なかったと言われたそうだ。
なので、それ以来は横向きに寝かせて気道を確保させている。

絶飲食になって10日ほど経つが、水分は点滴で補っているせいか、まだちゃんと生きている。
だけど、段々弱っていっているし、脳機能も腫瘍に侵されていっているらしく、ちゃんと呼吸しているのに血中酸素飽和濃度が低下してしまい、今は酸素ボンベで酸素を補ってあげている状況だ。
目を閉じることも、口を閉じることもできなくなってしまい、目も口も開けたまま寝るようになってしまった。を聴いたアラヤちゃんは、明らかな変化を見せて手を動かしたり目を動かしたりしていた。

訪問医師が言うには、脳腫瘍は体温調節機能を担っている部分を侵してしまうこともあるらしく、アラヤちゃんは39度台の熱を出すようになってしまった。
肺炎は抗生物質で綺麗に完治したらしい。肺の音を聞いても綺麗な音なんだそうだ。
それなのに上がる熱。
それは脳の体温調節機能がバグっているからだという。

言葉、意思表示、嚥下機能、目の調節機能、呼吸機能、体温調節機能、色々なものを成長する脳腫瘍に奪われて、それでもアラヤちゃんは懸命に生きている。
でも、日に日に状態が悪化する様子を見ると、胸が痛くなる。

アラヤちゃんが好きだった音楽を掛けてあげたらいいんじゃないか、という誰ともない意見で掛けてあげたTMネットワークのCD。その音楽音楽を楽しんでくれているようだった。
音楽の力はすごいなぁ、と思ったのだった。

そんなことを思う私たちに、医療関係者は悲しい見通しを伝えてきた。
「これまでのアラヤさんの経過は、脳腫瘍患者さんによくみられる途中経過と一致しています。
そして、私たちの経験上、今週がヤマだと思うので、気持ちの準備をしておいて下さい。」
と。

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