そう。前回ではアラヤちゃんに掛かる費用を抑えることには成功したけど、具体的に収入を得る方法を見つけたわけではない。
なので、貯金が減っていく一方という状況は何も変わらないのだ。
※ちなみに、基本的な生活費(光熱費や食費)は全て私もち。
※治療費や趣味・嗜好品のお金はアラヤちゃんが自分で払う、というのが現在の状況です。
そこで、診察の際に三谷医師にその点を相談してみた。
自立支援医療費制度や、障害者手帳もとても助かったんですけど(どうせならもっと早く言ってほしかった)、貯金が減っていく一方で生活の不安があるのは変わらないんです。
何か制度はないのでしょうか?
と。
↑アラヤちゃんがゲットした障害者手帳。都道府県ごとにデザインがちょっと違う。
上のは都道府県を仮に東京都にしてみたそうです♪
障害年金を申請してみるかい?
と三谷医師は言った。
<障害年金>
病気やケガなどにより障害を負った人が受け取ることのできる年金。
障害のレベルにより、1級・2級・3級・障害手当金に分けられる。
1級=(障害基礎年金+障害厚生年金)×1.25+子の加算額+配偶者加給年金額
2級=障害基礎年金+障害厚生年金+子の加算額+配偶者加給年金額
3級=障害厚生年金
障害手当金=障害厚生年金額×2(但し一時金のため、1回のみの受取となる)※赤いアンダーラインが引かれている部分は、会社員か公務員のみが対象となり、自営業者は対象外となる。
でも先生、この人会社員じゃないので、障害3級は狙えないんですけど、この人の現状で2級以上って狙えますか?
…………2級かー!!!
いやー、厳しいね。
てんかんで2級以上って、聞いたことないし、僕の受け持ちの患者さんでそんな人はいないなぁ……(^^;
そう、ここで問題となったのは、アラヤちゃんが会社員経験がほぼないこと。
そして、障害年金において重要なのは、脳腫瘍に関連する病院受診の初診日(初めて病院で診察を受けた日)から遡った過去の年金の納付状況とその種類なのだ。
年金の納付に滞納があると、その滞納状況によっては障害年金の支給対象とはならない。
※ここは読み飛ばして良いけど、「納付期間の三分の二以上は納付している。」か「初診日の前々月までの1年間に滞納がないこと。(これは特例でこの対象にならないケースもあります。)」が満たすべき納付状況。アラヤちゃんは、特例によりこの納付条件は満たしていた。
そして、その種類は「基礎年金」と「厚生年金」の2種類があるのだけれど、ずっと自営で生活していたアラヤちゃんには、厚生年金の加入実績がほぼない。
よって、対象となる障害年金は「基礎年金」のみとなり、より判定の厳しい1級か2級に該当しないと、障害年金を貰うことができないのだった。
だけど。
三谷医師曰く、アラヤちゃんの病状レベルで2級を狙うのは無理だろうとのこと。
5級がいけるかどうか……程度だと思う(^^;
とのことで、そんな低い等級では認定されたところで、何のお金も貰うことができない。
ですよねぇ……。
すでに下調べをしていて、そのことは知っていた私は別段落胆することもなく、「やっぱりそうですよね。」という感想を漏らした。
ただ、三谷医師はこんな提案をしてくれたのだった。
病院にはそういった生活上の困ったことなんかの相談に乗ってくれる、ソーシャルワーカーさんがいるから、相談してみるかい?
といい、ソーシャルワーカーの方に相談してみることを勧めてくれたのだった。
そして私たちは、ダメで元々だし相談して失うものがあるわけでもないし、ということで相談対応をお願いし、ソーシャルワーカーさんとの面談の予約を入れて貰うことにしたのだった。