アラヤちゃんがてんかん発作を起こした時、痙攣する手足を痙攣していない方の手で抑えるのは問題ないのか、という質問に対しての答えは、というと……。
はっはっはっw
抑えても抑えなくてもどっちでも良いwww
『あー、医者じゃないとわかんないから気にしちゃうのねー。』という感じに朗らかに笑い飛ばし、三谷医師は「どっちでも良い。」とあっさり答えたw
ぶんぶん動いちゃう手足がどこかにぶつかってケガしちゃうなら当然抑えてあげた方が良いけど、抑えたからって発作が治まるわけじゃないしね。
と追加する三谷医師。
それから、もう一つアラヤちゃんが気にしていたことを私が訪ねる。
てんかん発作なんですけど、比較的夕方の入浴時に起こりやすいんですけど、入浴前に抗てんかん薬を飲むことでそれが防げたりするんでしょうか?
んー、基本的には防げないですね。
定期的にきちんとお薬を飲んでいれば、薬の血中濃度は一定に保たれます。薬の飲むタイミングでてんかん発作を防ぐというのは難しいでしょうね。
その上で、三谷医師は「人間なので発作が起こりやすいタイミングと言うのがあるかもしれないが、このタイプのお薬はそれに合わせて対処できるものではない。」とはっきり言い切った。
あー……
そうですか……
アラヤちゃんのてんかん発作を心配していたご両親が、三谷医師の言い切りに嘆息を漏らした。
服薬のタイミングで、入浴中のてんかん発作をコントロールできることを期待していたんだろう。
※入浴時に発作が起こると、溺死のリスクがあるので。
先生、あの、比較的入浴時のてんかん発作が起こりやすいんですけど、入浴がてんかん発作の引き金になったりすることはあるんでしょうか?
大きなてんかん発作を起こして再入院し、その後退院した後のアラヤちゃんは毎日のようにてんかん発作を起こしていた。1日に何回も起こすこともあり、発作のタイミングはあまり読めなかったが、比較的入浴中にてんかん発作を起こすことが多くあり、本人も入浴を怖がるようになったのだった。
あー……ん~……あんまりないはずなんですが。
と言い切った後、三谷医師は「難治性てんかん」の話をしてきた。
それは脳腫瘍由来ではなく、生まれつきてんかんを持っている人の疾患で、薬を何種類も飲んでいるのにてんかんが抑えられない疾患らしい。
そういったてんかんを抱える人は、何種類もの薬を飲んでもてんかんが収まらないため、長い目で見た時に短命になりやすい傾向があるとのことだった。
てんかんの中でも特殊なてんかんを起こすと、心臓も止まってしまうことがあるらしい。そういうのをSUDEP(Sudden Unexpected Death in Epilepsy)と言うのだと、三谷医師は教えてくれた。
そういう人たちは心停止を起こすようなてんかんを起こすリスクもあるが、入浴中にてんかんを起こして溺死するというパターンもあるのだそうだ。
入浴中にてんかんが起こりやすいわけではないけれど、たまたま入浴中に、たまたま大きな発作を起こして、たまたま発作を起こした時に1人で、たまたま溺れてしまう、というのは確率的に低いけれど、ヒトの平均寿命80年の中にはそういうことが時には起きてしまうことがあるのだという。
だから、入浴中のてんかん発作は怖い、ということだった。
なので、鹿角さんはお風呂に入る時は「これからお風呂に入るよ。」と宣言してから入ってもらって、周りのご家族はお風呂場からの物音や入浴時間が極端に長くないか、などに気を配ってあげて下さい。
なんか「カポーン」って聞こえてこないなぁ、ということがあれば「大丈夫?」と声を掛けるとか、ね。
その上で、上記にように注意喚起をされたのだった。
……なるほど。
こちらとしても気を付けます。
ところで、現状で言葉の出にくさがまだ少し残っているんですが、何かしらリハビリをすることは可能なのでしょうか?
これもアラヤちゃんが気にしていた……というより、言葉がスムーズに出ないことに苛立っており、本人がリハビリを受けたがっていたので私が訊いたのだ。
それに対して三谷医師の回答はというと……。
……続く!!!